防犯性能はここまで試される!CPマークの防犯建物部品とは?
建物の設備や部品を選ぶ基準にはどのようなものがあるでしょうか。建物には、ドアや窓、さらには鍵や錠前など、住んでいる最中に取り換える可能性がある部品が存在します。部品を選ぶ際、見た目のデザインで選びたいとか価格や機能性こそが大事といった、さまざまなニーズがあると思います。今回は、安全・安心という点で考えたときに、参考にしたい「防犯建物部品(CP)」についてご紹介します。
防犯建物部品は、防犯性能試験に合格した製品
平成14年11月、警察庁、国土交通省、経済産業省、住宅生産者団体、建物部品関連団体などが参加した「官民合同会議」が設置され、防犯性能の高い建物部品の開発と普及を促進する「共通呼称(防犯建物部品)」と「共通標章(CPマーク、Crime Preventionの頭文字を取っています)」を制定。平成16年4月に、警察庁より「防犯性能の高い建物部品目録」が公表されました。
「CPマーク」が目印の防犯建物部品は、この「防犯性能の高い建物部品目録」に掲載・公表されていますが、防犯建物部品と名乗れるものとはどういうものなのか、またここでいう「防犯性能の高い」とは具体的にどういったことを指すのでしょう。
(財)都市防犯研究センターの資料によると、留守宅等への侵入に手間取って、侵入をあきらめる時間について「2分」と答えた元侵入盗が約17%、「2分を超えて5分以内」と答えた元侵入盗は約51%となっています。つまり、侵入盗・強盗の攻撃に対し建物部品が「5分」耐えることができれば、約7割が侵入をあきらめるということになります。
このような調査結果から、官民合同会議では、この「5分」を耐えうることなどを防犯性能の基準とし、「侵入手口に対し、5分以上の抵抗性能を有すること」を当面の防犯性能の基準と定めています。なお、目録の作成にあたって、防犯性能の基準となる「目標抵抗値」は次のとおりです。
・騒音の発生を可能な限り避ける攻撃方法に対しては、5分以上耐えること。
・騒音の発生を許容する攻撃方法に対しては、騒音を伴う攻撃回数7回(総攻撃時間1分以内)を超えること。
(警察庁|防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議より)
このように、定められた防犯性能の基準に則り、試験員が試験工具を用いて試験品の建物部品に対して試験行為を行い、クリアしたものが防犯建物部品として認定されているのです。 錠前、シリンダー、サムターンの試験内容
防犯建物部品の中でも、錠前やシリンダー・サムターンなどについては、どのような試験で防犯建物部品と評価しているのでしょうか。具体的には、次の段階に分けられた厳しい試験を行い、合格した製品のみが防犯建物部品「CP認定錠」となることができます。
第1系列の試験 |
第2系列の試験 |
耐ピッキング試験 |
ドリリング試験 |
耐インプレッション試験 |
シリンダーのもぎ取り試験 |
バイパス解錠試験 |
シリンダープラグの引き抜き |
耐読み取り性能試験 |
シリンダープラグの捻り |
サムターン解錠 |
デッドボルトの切断 |
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携帯用ガスバーナー試験 |
これらの試験を行い、さらに第3系列の試験(実際に標準的なドアに製品を取り付けての破壊試験)を行った結果、ドアが開くまでの実働時間が5分以上かかる場合に合格となります。
※電気錠システムはこれらの試験に加えて、「電気的攻撃試験」と「各システム固有の試験」の試験基準を満たす必要があります。
いかがでしたか?
「防犯建物部品でないものは壊れやすいのか」というと、必ずしもそんなことはありません。防犯性能をより高めた防犯建物部品なら、さらなる安心が得られる可能性が高いということです。錠前をはじめとする防犯設備は、特にその用途や環境、費用などトータルで考慮して導入することで、製品本来の性能を正しく発揮することができます。導入を検討する際は、ぜひここで紹介したことも参考にしてみてください。
※「錠」と「鍵」の表記について
錠前(錠・ロック・lock)は、扉などに取り付けて締める金属、機械的または電子的な部品をいいます。鍵(かぎ・キー・key)は、錠前を施錠・解錠する(操作する)ための器具をいいます。ここでは便宜上、日常的な会話に合わせて、鍵と錠前をまとめて「鍵(かぎ)」と記載している場合があります。