春は、入学や入社あるいは転勤等で新生活が始まる季節です。そのため集合住宅や戸建てでは多くの入退去(引っ越し)が重なります。そんな時に欠かせないのが鍵の交換です。
今回は入退去した際になぜ交換するのか、もしくは誰が行うのか、鍵の交換について考えてみたいと思います。
鍵も賃貸物件の一部とみなされる?
転居時、集合住宅など賃貸物件の部屋を借りている人(賃借人)は退居する際にその物件の管理会社やオーナーへ鍵を返すことで退去が完了します。なぜ鍵を返すのかというと、鍵は賃貸物件の一部とみなされているためです。借りている部屋の鍵も物件の備品として扱われるため、退去する時に鍵を返す必要があるのです。
なお、賃貸契約の期間中、管理会社から受け取った鍵以外に合鍵を作った場合、その合鍵も返還の対象となるようですが、その適用範囲について契約書で確認してみましょう。
鍵を無くしてしまった場合
部屋を借りている人でもし鍵をなくしている場合、必ず管理会社やオーナー側に報告しましょう。弁償になるかどうかは、管理側のルールや取り決めにもよりますが、謝罪はもちろんのこと、電話等だけで済まさず、退去時の立会いに必ず参加するなど退去が完了するための協力は惜しまないようにしましょう。
入退去時には鍵交換が必然
退居または入居の際、費用の中に鍵の交換費というものを目にしたことがある人もいると思います。これは、新しい住人が安心して入居できるようドアの鍵を新しいものに交換することです。しかし、鍵交換は法律で定められているわけではなく、一部の管理会社やオーナーは鍵を交換せずに使いまわす場合もあるようです。こういった場合、どのようなリスクがあるのでしょうか。
鍵を交換しなかったときのリスク
例えば前の住人が合鍵を作っていた場合、その合鍵で室内に侵入できてしまうことが考えられます。また、同じ鍵を使い続けることでの経年劣化か破損・不具合が起こる可能性も考えられます。鍵を交換しなかったことで、何か起こった場合、管理会社やオーナーがその責任を問われる可能性も出てくるのです。そうならないためにも、鍵交換は必要なこととして対策をしておきましょう。入居者が替わったら鍵を交換するという決まりで多くのトラブルを未然に防ぐことができるはずです。
鍵の交換を行うのは借りる側か貸す側か
それでは、鍵を交換する責任はどこにあるのでしょうか。国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改定版)」によれば、賃貸人である管理会社やオーナーが負担するのが妥当としていますが、実際は、賃貸借契約で賃借人が負担すると決められている場合も少なくないようです。部屋を借りた人が退去時の原状回復費用の一部として費用を負担し、退去後に管理会社やオーナーが交換するというケースが多いようです。部屋を借りる人、家を借りる人は、契約または入居時に、鍵交換の負担がどうなっているか確認することが大切です。
絶対に大丈夫というのは禁物
賃貸人が負担することになっている場合も、新しく入居する際に、部屋や家を借りる人は本当に鍵が交換されているか確認しましょう。「もしかしたら使いまわし?」と思ったとしても、鍵や錠に他のセキュリティの不安があったとしても、勝手に自分で交換したり、合鍵を作製しないようにしましょう。集合住宅などでは、住戸部の鍵が共用部と連動している場合もあり、また純正品でない製品を取り付けたことが不具合の原因になることもあります。再度交換の必要が生じ、初めから賃貸人側に交換してもらった以上の費用を請求される可能性もあり得ます。鍵に何かしらの不安がある場合は、管理会社やオーナー側にきちんと説明をしてもらいましょう。
鍵は純正品を使いましょう
管理会社やオーナー側では、入退去時期だけでなく、住人が鍵を紛失したり破損したり、入居中であっても鍵交換の必要が発生することがあります。きちんとした契約上の業者が問題はないと思いますが、そうでない場合も正規販売店に依頼して仕入れることをおすすめします。正規販売店を経由し、純正品を取り付けることで、鍵の寿命も変わります。住人の方にとっては問題なく安全であることが安心や信頼感を高めます。それらは物件価値にも繋がることでしょう。
また鍵交換の際は、セキュリティ強化できる絶好のタイミングでもあります。一つ一つ交換し、防犯上のセキュリティ強化・改善することが大切です。
「錠」と「鍵」の表記について
錠前(錠・ロック・lock)は、扉などに取り付けて締める金属、機械的または電子的な部品をいいます。鍵(かぎ・キー・key)は、錠前を施錠・解錠する(操作する)ための器具をいいます。ここでは便宜上、日常的な会話に合わせて、鍵と錠前をまとめて「鍵(かぎ)」と記載している場合があります。