鍵の定番、今でも現役!南京錠をフカボリします
鍵のアイコンなどにも使われ、鍵のシンボル的存在といえる南京錠。古くから親しまれているその鍵は、いくつかの守備範囲では他の新しい鍵と交替したものの、質実剛健、シンプルさの中に秘めた機能美、かつ延々と脈打つ信頼性で、未だに鍵の定番といえるでしょう。今回は南京錠の基礎知識から一歩進んで、その実力に迫ってみましょう。
誰しも何気なく使っている南京錠ですが、まじまじと見た経験のある方は案外少ないかもしれません。一口に南京錠といっても形状や材質、ディテールはさまざまです。よくよく見ると不思議なことがたくさん見つかります。
南京錠の底面には小さな穴が開いているものがあります。南京錠の底面なんて使用している方でさえなかなか見る機会は少ないと思いますが、じつはこれは「水抜き穴」といいます。小さな円形の穴で、そこから水が流れて内部に水分がたまるのを防ぎ、品質や性能を維持するためのものです。多くの南京錠にこの穴がありますが、構造上、これがなくても問題ない南京錠もあります。
「同一キー」とは、ひとつの鍵で、複数の錠を開けられる仕様のことです。南京錠にも同一キー仕様のタイプがあり、例えばホテルや施設内の倉庫扉と点検口、住宅であれば勝手口と物置きなど複数箇所に南京錠を設置する場合に効果的です。同じ鍵で施解錠できる同一キー仕様であれば、1つの鍵でいくつもの南京錠を開けられるため、鍵の管理が楽になります。
掛け金やチェーンなどと組み合わせることで、多様なシーンに対応可能になります。南京錠単体では取り付けや固定が難しい、バイクや自転車、貴重品や用具、鍵の無い扉や戸棚など、工夫次第でロックできるものの幅を広げられます。
南京錠のセキュリティ性能は、その南京錠の種類やタイプによってピンキリです。
昨今、玄関の鍵でもよく使われている「ディンプルシリンダー」を採用した南京錠ですと、耐ピッキング性能(5分以上)が高く鍵穴からの不正解錠に強いとされています。また、南京錠のシャックル(U字型のツル)を太くしたもの、焼き入れして強度を高めたもの、合金鋼製のものなどはボルトクリッパーといった工具での切断に強く、犯行を諦めさせることに有効です。
4桁可変式ダイヤル型の南京錠であれば、10,000通りの暗証番号が設定可能に加え、鍵を持ち歩いたり失くす心配もありません。さらに鍵のかけ忘れ防止を目的に、施錠操作をしてからでないと鍵が抜けないタイプもあります。
シャックルと呼ばれるU字型のツルが特徴のタイプで、南京錠として最もイメージされやすい一般的な形状のものです。
本体やシャックルの大きさや長さ、材質やカラーが豊富で、いろいろな場所に採用されており、サイズが小さいものはバッグやネックレスなど、オシャレなアクセサリーとしても採用されることもあります。
暗証番号を合わせて解錠するタイプの南京錠。暗証番号を好きな番号に変更できるナンバー可変式タイプもあります。鍵を持ち運ぶ必要がないため、鍵を探したり、失くす心配がありません。複数人で共有する場合にも向いています。
泥棒のねらい目であるロック時のシャックルの露出を抑え、切断工具の入る隙間を小さくしたガードプロテクトタイプ。円盤状に全方向をガードし、より隙間を無くした「円盤型」タイプもあります。
シャックルが真っ直ぐなカンヌキ型をした南京錠。倉庫や観音開きの扉など、U字型のシャックルでは設置が難しい場所に適しています。
他にも、耐候性、耐水性のある南京錠や、本体への衝撃・摩耗・腐食を軽減したり、水分・ホコリなどの異物侵入・固着で生じる不具合、さらにサビなどから守る「樹脂製の保護カバー付き」の南京錠もあります。
メンテナンスの重要性と緊急時の対処
金属製部品で構成されている南京錠は、使用環境・期間・頻度などにより、サビや部品同士の固着が生じる場合があります。雨、風、暑さ、寒さなど何者にも耐えうるような南京錠とはいえ過信せず、長く愛用するために、定期的なメンテナンスを行うことをおすすめします。
定期的な清掃・開け閉めなど、日ごろのメンテナンスは大切です。潤滑剤は金属同士の固着を防ぎ、キーの抜き差し、シリンダーの回転、シャックルの動きをスムーズにします。また、南京錠の内部に付着した砂やホコリなどの異物を洗浄し、さらに防サビ成分が保護層を形成します。
※潤滑剤は純正品を選びましょう。
万が一開かない時も潤滑剤を塗布し、洗浄などの効果が出ればよし。最悪の場合は切断も検討しますが、困った時はまず専門店へ相談ください。緊急時ばかりでなく、最適な南京錠の相談、合鍵制作、故障・切断の相談など、鍵と防犯については、プロに依頼・相談いただくのがよいでしょう。