犯罪や事故を減らし、安全安心な暮らしを送る環境を整えよう
安全安心な暮らしには、防犯は欠かせないものです。防犯というと、性能の高い錠前システムや設備のことばかりに目が行きがちですが、もうひとつ重要な視点として注目すべきは環境です。犯罪を防ぎ、安全安心な暮らしを守るための環境づくりについて考えてみましょう。
たとえば犯罪が起きる原因として、まずは犯罪者の存在があります。動機となる犯罪者の境遇や心の問題もありますが、それだけではないことがさまざまな犯罪の研究でわかってきました。ニュースでも「普段はよい人」「たまたま間が差して」と犯罪者の印象が語られるシーンがよくありますが、そんな人がなぜ犯罪を起こすのか。そこに登場したのが、犯罪を行うのに都合のよい状況や機会があったからこそ、犯罪が実行されてしまったという考え方です。
状況や機会という犯罪につながる「環境」が整うことで犯罪が発生し、被害者が出てしまったのです。つまり犯罪者がいるからしょうがないということではなく、犯罪に遭わないためには、犯罪が発生しにくい環境を整備することが大切で、人的な防犯活動(ソフト面)や、建物・道路・公園等の物理的な環境(ハード面)の整備や強化等と合わせることで、犯罪を抑止できるということです。
ことは犯罪だけに留まりません。家庭内で起こる事故であっても、これこそ事故が発生する原因が設備や機器の不良であったり、危険な場所が存在したり、事故につながるようなものが放置されたままになっていたり、そのような条件がそろったからに他ならず、修理や安全強化など環境を整備することによって事故を未然に防げるのです。これが「防犯環境設計」という考え方です。
防犯環境設計には大きく分けて、「1.対象物(自宅建物や集合住宅など)を防犯性の高いものにするという一般に知られる防犯対策」と、「2.地域交流やコミュニティを形成することで部外者がそのエリアに侵入しにくくする環境づくり」があります。
前者はさらに分類し、防犯性の高い錠前や面格子などを用いて対象物を強化することや、部外者の侵入経路を見極めて制御できる扉や門扉などを設けて対象物への接近自体を困難にすること、さらには植栽を適度に剪定したり、日が当たりにくく暗いところには照明器具を設置して外部からの目を行き届くようにして監視性を確保することなどがあります。これらを組み合わせることで、対象物を防犯性能の高いものにして、犯罪を防ぎます。
さらには事故や事件の起こる場所やシーンはある程度偏っており、戸建て住宅であれば玄関前、ベランダ、庭、塀などの開口部付近は常に点検が必要です。高齢者やお子さんのいるご家庭では飛び出しや転落事故、連れ去りなどに気を配る必要もあります。
また、季節的な要因もあります。夏季に換気を目的としてドアや窓を開放して、そのまま外出するのは言語道断、家庭内に人がいても侵入のリスクは高まります。その他、固有の地域性や特殊な事情がある場合もあるでしょう。要は、自宅や周囲の環境で、事故や事件につながりそうなことがないか、普段から意識することが大切なのです。
防犯環境を考える上で、もう一つ重要なのが、地域との交流です。環境を整備するためには、一人、もしくはひとつの家族だけでは完結しないことが少なくありません。「割れ窓理論」をご存じですか。1枚の割られた窓ガラスをそのままにしていると、さらに割られる窓ガラスが増え、いずれ街全体が荒廃してしまうという話ですが、米国の犯罪学者ジョージ・ケリング博士が提唱した理論です。
この理論を地域で実践、活用したのが米国のニューヨークです。犯罪多発都市のひとつであったニューヨーク市では、1994年以降、割れ窓の修理や落書きなど軽微な犯罪の取締りを強化し、その結果、犯罪の大幅減少に成功しています。
落書き消しや張り紙撤去などを行い、住宅やその周辺の状況を改善し、住民相互の活動や交流を促すことにより、犯罪を起こしにくい雰囲気を地域で形成します。すぐにできることではありませんが、そのような意識を持つだけでも、少なからず安全安心なまちづくりに貢献できるはずです。
そんな街づくり、環境形成のサポート役として、鍵専門店を活用してみるのはいかがでしょうか。防犯性能の高い設備や各家庭のリスクなど、不安があればぜひご相談ください。